こんにちは、函館の行政書士 小川たけひろです。
だれにでも、「あのときこうしておけば良かった…。」と後悔したことってありますよね。
とにかく早く離婚したい一心で、相手の提案した条件をじっくり考えずに離婚届を出してしまうと後悔することがあります。
たとえば、次のようなケースの場合、慰謝料や財産分与の請求は可能でしょうか?
私は、長い間、夫の浮気に悩まされ、精神的にも限界に達してしまい、離婚の考えるようになった。
夫は早く離婚して浮気相手と新しい生活を始めたいようで、私もとにかく一刻でも早く現実から逃れたいとの一心から、夫が提示してきた慰謝料や財産分与など金銭の要求を一切しない旨の離婚協議書に署名と捺印をして離婚してしまった。
それからしばらくして、新しい生活にも馴染み、離婚のことも冷静に考えられるようになってくると慰謝料や財産分与など、あのとき自分が放棄したお金があれば、今の生活はもっと楽だったはずなのに、一時の感情に任せてよく考えもせず、離婚協議書にサインしてしまったことを後悔している。
できるなら、離婚の際に交わした離婚協議書を白紙に戻して、あらためて元夫に慰謝料や財産分与について請求したいと考えている。
でも、こんなことは可能なのだろうか?
1慰謝料、財産分与の請求期間について
基本的に、離婚が成立した後にでも、慰謝料、財産分与について、それぞれ次の期間を経過しなければ請求することは可能です。
・慰謝料 離婚の日から3年
・財産分与 離婚の日から2年
2文書で慰謝料や財産分与の請求を放棄していた場合はどうなる?
しかし、上記のようなケースの場合、離婚時に慰謝料や財産分与を請求しないという合意書や離婚協議書に署名と捺印をして離婚した場合はどうなるのでしょうか?
結論をいえば、これらの文書に署名捺印してしまった後では基本的に相手へ請求することは難しいでしょう。合意書や離婚協議そのものには法律的な強制力はありませんが、相手方に合意書や離婚協議書など契約の取消しを要請して拒否され、調停を申し立てたとしても、相手方に文書の存在を主張されれば当然不利になってしまいます。
そのため、現実的に慰謝料や財産分与を請求することは難しいでしょう。
3相手方が一方的に書面を提示してきた場合は冷静に見極めましょう
上記のケースのように、離婚を急ぐあまり、相手にばかり有利な内容なのに署名捺印して後悔してしまうということが本当に多いのです。
特に調停や裁判などと違って、第三者が介在しない夫婦二人だけで話し合って離婚する場合には、その危険性は大きくなります。
そのため、相手から合意書や離婚協議書などを一方的に提示された場合には、その場ですぐに決断せず、いったん冷静に内容を確認してみましょう。不安であれば行政書士など専門家に内容を確認してもらうことをおすすめします。