選択的夫婦別姓が導入されたら離婚はどう変わる?

こんにちは、函館の行政書士 小川たけひろです。

現在、日本の法律では夫婦別姓が認められていません。しかし、世の中に様々な価値観があふれているように、それに伴い、夫婦のあり方も多様化しきています。近年特に、結婚後も夫婦別々の姓を名乗りたいという、いわゆる選択的夫婦別姓が話題になることが多くなりました。

そこで今回は、夫婦別姓のメリットやデメリットを紹介し、さらに夫婦別姓の夫婦が離婚した場合、どのようなメリット・デメリットが考えられるのかを解説いたします。

1.選択的夫婦別姓とは?

現在の法律では、結婚の際は夫婦のどちらかの姓に改めなければなりません。これに対し選択的夫婦別姓は、結婚後、同一の姓を名乗るか、婚姻前のそれぞれの姓を名乗ることを選べる制度です。

しかし、選択的夫婦別姓の導入については慎重論も多く、まだまだ検討が必要なようです。それでは、選択的夫婦別姓が導入され、夫婦が 別々の姓を名乗り離婚した場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

2.夫婦別姓が導入されたら変わること

繰り返しになりますが、現在の法律では、結婚をする際、夫婦となるいずれか一方が、必ず姓を一方の姓に改めなければなりません。日本の場合、古くから続いた家制度の影響が残っているため、婚姻の際は、夫の姓を選び、妻が姓を改めることが圧倒的に多いのです。

しかし、現代、女性の社会進出がめざましくなり、それまで使っていた姓を改めることにより、不利益をこうむったり、不便を感じる女性も少なくありません。そして、このようなことを背景に、選択的夫婦別姓制度の導入を求める社会的機運が高まったのです。

夫婦別姓制度が導入されると、結婚する際に、今までどおり夫婦どちらかの姓に改めるか、もしくは夫婦それぞれが結婚前の姓を名乗るかを選択できるように変わります。

また、別姓夫婦の間に子どもが生まれた場合、子どもは夫婦どちらかの氏を名乗ることになります。法律上、夫婦間のルールに変更はありませんが、戸籍などの制度をどう変更するのかといった課題もあり、まだ検討が必要なようです。

3.夫婦別姓にするメリット

次に、夫婦別姓制度が導入された場合のメリットを考えてみましょう。

3-1.自己喪失感や嫌悪感といった感情から解放される

繰り返しになりますが、現在の日本では婚姻の際、夫婦のどちらかの姓を名乗らなければなりません。生まれてから、婚姻届を提出する日まで、ずっと馴れ親しんだ姓を変えるということに、自己喪失感や中には嫌悪感すら抱く方もいらっしゃるようです。

しかし、夫婦別姓制度を導入した場合、夫婦どちらも結婚前の姓を引き続き名乗ることができ、こういった感情を抱くことが少なくなり、結婚に対して前向きになれるかもしれません。

3-2.仕事に影響が出ない

夫婦別姓のメリットとして、仕事に影響が出ないということが挙げられます。夫婦別姓が導入されるまでは、結婚を機に妻が、夫の姓に変えることが圧倒的に多かったため、姓を変えたことによって、仕事上の信用や実績が消えてしまうといったこともありました。

また、仕事では婚姻後も引き続き旧姓を使用していたとしても、戸籍上は夫の姓ということで、仕事時とプライベートにおける使い分けを煩わしく感じる方もいらっしゃいます。

その点、夫婦別姓が導入された場合、これまでの信用や実績に影響もなく、戸籍上の氏名と仕事で使っている旧姓の使い分けといった不便さから解放されることが期待できます。

3-3.結婚に伴う変更手続きが不要になる

夫婦別姓が導入された場合、結婚後の手続きが不要になるというメリットがあります。夫婦別姓を選択した場合、姓が変わったことに伴う手続きが不要になるため、免許証、パスポート、銀行口座やクレジットカード、などの変更手続きをする必要がなくなります。

4.夫婦別姓にするデメリット

4-1.一方の親と姓が違うことで子どもの感情に影響が出る可能性も

夫婦別姓にするとメリットが多そうですが、デメリットはないのでしょうか?夫婦別姓にした場合のデメリットとしては、子どもに両親のどちらか姓を名乗らせるという選択の問題が発生します。子どもの姓が一方の親と異なることで、子どもが疎外感や違和感を覚えるかもしれません。

4-2.家族という意識が薄くなる

婚姻関係を結ぶと、家と家が繋がり、人間関係の幅が広がっていきますが、選択的夫婦別姓が導入されると、「個」の意識強くなり、家族という意識が薄くなるのではないかという懸念があります。

ただ、これはあくまで価値観や意識の問題なので、デメリットと捉えるかは難しいところです。しかし、これら予想されるデメリットも、制度が広く社会に馴染んでいき、関連する制度も整備されていけば、デメリットは解消されていくのではないでしょうか。

それでは、いよいよ本題ですが、夫婦別姓を選択した夫婦が離婚する場合、何かメリットやデメリットがあるのでしょうか?

5.夫婦別姓で離婚した場合のメリット

夫婦別姓を選択した夫婦が離婚する場合も、離婚する際には、子もどの親権や養育費、財産分与、慰謝料など離婚の条件について話し合うことは変わらないでしょう。そして、これらの条件を決める際も夫婦別姓にしたことで条件面に違いが出てくるといったことは考えにくいと思われます。

条件面では表立ったメリットはなさそうですが、離婚後に氏を戻す必要がないため、保険や年金、銀行口座、パスポートや運転免許証などの変更手続きが要らないといったメリットや、職場や周りから必要以上にプライバシーに踏み込まれるといった煩わしさが減るといったメリットが考えられます。

6.夫婦別姓で離婚した場合のデメリット

夫婦別姓の夫婦が離婚した場合、これといったデメリットはないと思われます。

7.まとめ

夫婦同姓を法律で義務付けている国は日本のみです。そして、国連は何度かこの日本の制度に対し「差別的だ」として、改めるよう勧告しています。こういった背景があるため、今後導入に向けて議論が活発になっていくかもしれません。

ただ、日本では「家制度」の名残が根強く、選択的夫婦別姓という制度に対してまだまだ抵抗感を持つ方も多くいらっしゃるのが現実です。しかし、夫婦別姓制度を導入することによって、社会進出している女性が、結婚後も仕事をしやすい環境となり、相乗効果として結婚に対して前向きになれるといったメリットも考えられます。

また、離婚する場合にも、姓が変わらないため、面倒な変更手続きから解放されたりり、職場や周囲から必要以上にプライバシーに干渉される煩わしさも低減できます。

将来、選択的夫婦別姓制度が導入された場合、こういったメリット・デメリットを踏まえた上で、夫婦別姓を選択するかどうか、じっくり夫婦で話し合いをすることが大切になるでしょう。

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