偽装離婚は犯罪です!

こんにちは、函館の行政書士 小川たけひろです。

偽装離婚という言葉を聞いたことがある方がいらっしゃるかもしれません。

偽装離婚とは、何かしらの目的があって離婚しているように装うことをいいます。

では、どのような目的のために偽装離婚をするのでしょうか?

また、偽装離婚が発覚した場合、ペナルティのようなものはあるのでしょうか?

1.偽装離婚とその目的

離婚を偽装すること、すなわち偽装離婚とは、婚姻生活を継続しているにも関わらず、役所に離婚届を提出し、あたかも離婚しているように装うことをいいます。

離婚届を提出しているので、法律(戸籍)上は離婚していることになります。

そのため、経済的援助や子育て支援といった、国や自治体からのお金に関する援助が受けやすくなります。

つまり、実質的な婚姻生活を続けたまま、国や自治体からの支援や援助を受けようとするのが偽装離婚の主な目的です。

2.偽装離婚をする主な3つの目的

偽装離婚をする目的は夫婦の事情によってさまざまですが、代表的な目的は3つあります。

①生活保護を受給するため

②借金逃れのための財産隠し

③子どもを保育園に入れやすくするため

では、それぞれについて見ていきましょう。

生活保護などを受給するため

たとえば、離婚して妻が子ども引き取ったとすると、生活保護の申請が認められる可能性が高くなります。

さらに、自治体から児童扶養手当(ひとり親家庭などに支給される手当)が支給される可能性もあります。

生活保護と児童扶養手当が認められれば、世帯によっては、毎月20数万円も受給されるケースがあります。夫が働いていないとか、夫の収入だけでは生活が困窮してしまうといった場合、偽装離婚することで、こういった経済的利益が得られる可能性があります。(「離婚と生活保護」もご参照ください。)

借金逃れのための財産隠し

夫婦に借金がある場合、借金から逃れるために、偽装離婚することがあります。たとえば、夫の会社が倒産してしまい、住宅ローンの返済や生活資金確保のため借金を重ね、ついには、その返済もできなくなってしまうと、家や土地まで差し押さえられてしまう可能性があります。

こういった場合、資産を差し押さえられる前に、自分名義の不動産などを「財産分与」として妻に渡したり、預貯金などの現金を、「慰謝料」として妻に渡すことがあります。こうすれば、自分にいくら借金があっても、離婚をして妻のものになってしまった資産は、差し押さえられることがありません。

そして、偽装離婚なので、実態は今まで通りの夫婦生活を継続。夫がその後自己破産しても、財産を失うことなく生活を送ることができるというわけです。

子どもを保育園に入れるために

近年、待機児童の問題が深刻化しています。

認可保育園への入園は、ひとり親世帯が優先される傾向があるため、偽装離婚するケースもあります。

3.偽装離婚はどうやってバレる?

偽装離婚してもバレないだろうと高をくくっていても、バレるときはバレます。

生活保護などの不正受給の場合

生活保護を受給するとケースワーカーなどの監督を受けることになります。

ケースワーカーは偽装離婚を発見する役割を担っているので、生活保護を受給している人の家を突然訪問して状況チェックを行います。

もしも偽装離婚の疑いのある夫婦がいれば、頻繁に訪問して確認を行うことになるので、遅かれ早かれ、偽装離婚を見抜かれてしまうでしょう。本人たちは上手く隠しているつもりでも、近所の人が「生活保護を受けているはずなのに、ずいぶん贅沢している。なんだかおかしい。」などと、通報を入れるケースもよくあります。

借金逃れのための財産隠しの場合

自己破産をする場合、裁判所に対して、離婚の事実を報告する必要があります。このとき、財産分与など離婚の条件に関して報告する必要があるため、ここで財産隠しを見抜かれてしまうことがあります。

自己破産前後の離婚は裁判所にマークされやすくなります。自己破産手続きでは、「財産隠しの疑いがある」など調査や具体的な対応が必要と判断されると、差押えとなる財産を把握するため、財産の価値を調べたり、免責判断の調査などを行うために裁判所が「破産管財人」を選任することもあります。

自己破産前後で偽装離婚すると、財産分与についても調べられるため、偽装離婚が発覚する可能性があります。

子どもを保育園に入れるために偽装離婚した場合

子どもを保育園に入れたあと、家族で食事をしているところや一緒に買い物などをしているところを先生やママ友などに目撃され、ひとり親家庭でないことが発覚することがあります。

また、偽装結婚について理解できない子どもが、子ども同士や先生との会話のなかで両親と同居していることについて喋ってしまい、発覚してしまうこともあります。

4.偽装結婚がバレるとどうなる?

偽装結婚がバレるとどうなってしまうのでしょうか?

生活保護などの不正受給の場合

偽装離婚をして、不正に金銭を受け取ったことが発覚すると、公正証書原本不実記載等罪(刑法157条)に問われ、5年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

生活保護を受給していた場合は、受給は停止され、保護費の返還を求められることになります。 そして今後、本当に生活保護を受けたいと希望しても受給が認められにくくなります。

借金逃れのための財産隠しの場合

偽装離婚によって借金をチャラにした場合は、破産法上「財産の隠匿行為」に該当します。自己破産の手続き中にこれが発覚すると、免責を受けることができなくなり、さらに、悪質と判断された場合は詐欺破産罪(破産法265条)に問われる可能性もあります。この場合、10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金、あるいはその両方が科されるという、極めて重い罪になります。

子どもを保育園に入れるために偽装離婚した場合

偽装離婚をして子どもを保育園に入園させた場合は、法律上の具体的な罰則は受けにくいでしょう。

しかし、保育園からは退所を求められることになってしまうでしょう。

自分達夫婦夫婦だけでなく、子どもも周囲から冷たい目で見られたり、いじめにあうなどつらい状況に追い込まれる可能性があります。

5.偽装結婚という危ない選択をしないために考え直してみましょう。

話してきたとおり、偽装結婚は犯罪です。そして発覚すれば当然罪に問われることになります。

罪を償っても、前科がついてしまっては、長年勤務してきた職場を解雇されたり、

その後の就職活動が上手くいかなくなる可能性があります。

また、夫婦だけの問題にとどまらず、子どもまでもが、周りから冷たい目で見られたり、いじめの対象となるなど、精神的な影響は大きいものとなるかもしれません。

偽装結婚を考える前に、本当に解決策はないのか?もう一度考えてみましょう。

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