会社の財産を財産分与できるのか?

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは。函館市の行政書士 小川たけひろです。

 

夫が自営業者である夫婦が離婚する際、妻は夫に会社に属する財産を財産分与の対象として請求することができるのでしょうか?

 

〇原則、会社と個人は別人格。でも例外もある

原則として、会社と個人は全く「別の人格」として扱われます。つまり、個人が一人で経営している会社であっても、会社と経営者は全く別の人格として扱われるということです。

つまり、会社の財産は、経営者個人の財産でないということです。このことから、原則的に、会社名義の財産を財産分与の対象とすることはできません。

しかし。たとえば、夫婦2人で経営しているごく小規模な会社であって、夫婦以外に従業員がいないような形態の会社である場合には、会社名義の財産であっても、以下の事例のように、実質的には夫婦の財産だと認められる場合もあります。

 

〇夫婦が共同で事業をしていた場合

夫婦が共同事業をしていて、経営者が夫で会社の資産の名義も夫になっているような場合、夫婦が協力して築いたものであれば、財産分与の対象になります。

裁判例1 共同でプロパンガス販売業を経営していた夫婦の離婚した際には、プロパンガスの販売業自体を実質的共有財産と認めて、営業用財産と得意先300戸分の営業権を金銭に換算して、妻にその70%分を分与した。

裁判例2 夫婦が共同でいわゆる「富山の薬売り」のような医薬品配置販売業を営んでいた事例で、配置薬の得意先905戸分の帳簿である「懸場帳と題する帳簿9冊」を妻に分与するように命じた。

ちなみにこの「懸場帳」とは、「富山の薬売り」のような、医薬品配置販売業の行商人は、薬を預けた先の顧客名簿を持っていて、それを「懸場帳」と呼んでいました。そして、この「懸場帳」にはその預け先の家族構成や、薬の使用量などが日付毎に記入され、行商人の間で売買もされていて、医薬品販売を営む上で欠くことのできない重要な情報源であり、まさに会社の財産と呼べるものでした。

 

〇会社名義が配偶者の親など「第三者」であった場合

また、たとえば、夫の父名義の事業について、夫婦の労働による寄与分を認めて、「法律上は第三者に属する財産であっても、その財産が婚姻後の夫婦の労働によって形成されたり取得されたものであって、かつ将来夫婦の双方もしくは一方の財産となる見込みの十分な財産も含まれると解するのが相当である」として、労働者の平均賃金を基準に、妻へ400万円の財産分与を認めた判例もあります。

 

〇妻が専業主婦として夫の経営を支えていた場合

妻が専業主婦として夫の経営を支えてきた場合についても、金銭で評価され財産分与の対象となると思われます。

ただし、会社名義の財産が財産分与の対象されるとしても、経営者ではない配偶者が、会社の経営にほとんど携わっていない専業主婦のような場合には、会社財産の形成については、経営者の能力的な部分や努力によるところが大きいとして、財産分与の原則的な割合である2分の1より低く評価されることもあり得ます。

 

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