重婚と子供の身分

こんにちは。函館市の行政書士 小川たけひろです。

 

夫が離婚届を偽造して妻の知らない間に役所に提出してしまい、不倫相手と既に再婚していたら、その後の婚姻関係や子供の身分はどうなるでしょうか?

妻(元妻)は、婚姻届が偽装されたものであることを証明すれば、離婚届を無効にして元の婚姻関係に戻ることができます。日本の法律では重婚は認められていませんので、現在の妻との婚姻関係は取り消されることになります。

ただ、現在の妻との再婚が取り消されたとしても、その取消しの効力は遡ることはありません。ここで、この現在の妻に子供が生まれていた場合に、子供の身分はどうなるかというと、子供は、父親と母親の婚姻が取り消される前に生まれているので、婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子、つまり嫡出子となります。

しかし、婚姻が取り消されたときは、取り消しの効果として遡って、嫡出子ではなくなることはありません。つまり、一度嫡出子となった子供はその身分を失うことはないのです。親の都合で、安定している子供の身分を不安定な状態に置くことはできないからです。したがって、婚姻の取消しの効果としては、戸籍上、現在の妻との縁は切ますが、子供との縁が切れることはありません。

他方、元の妻としてできることはどんなことが考えられるかというと、まず、重婚は立派な犯罪です。つまり罪に問うことも可能です(実際罪に問われることは稀らしいですが。)

。しかし、元の妻としては、夫と不倫相手との婚姻が取り消されたとしても、夫と再び婚姻生活をやり直そうという気持ちになれないのが普通かもしれません。

また、離婚届を偽装して役所に提出しまった場合、裁判所で無効の審判を下してもらわなければ、戸籍を訂正することができません。単純に「間違い」として片付けることができず、役所に申告するだけでは、以前の婚姻状態に戻すことができないため、手続きの面からも、かなり面倒なことになってしまいます。

こういったことから、元の妻としてみれば、勝手に離婚届けを出して、再婚してしまうような夫に未練もなくなり、戸籍を訂正するためにする裁判所での手続きも煩わしいので、重婚状態が判明しても離婚を追認することが多いようです。

ただし、子供に嫡出子の身分が与えられるのは、現在の妻と夫が同意して婚姻届を出した場合に限られます。現在の妻に婚姻の意思がないのに婚姻届が出されていた場合には、その婚姻は無効となります。婚姻が無効ということは、最初から再婚という事実もないことになるので、子供の嫡出子としての身分も、最初からなかったことになります。

Pocket