慰謝料を分割払いにするならリスクを軽減させましょう。

こんにちは。函館の行政書士 小川たけひろです。

 

離婚の慰謝料は一括で支払って貰えるならそれが一番良いことですが、相手に一括で支払う資力がなければ、分割払いもやむを得ません。

しかし、分割払いの場合、その後に相手を取り巻く事情が変わって、支払いが滞ってしまう怖れもあります。では、仕方なく分割払いにする場合、どのように対応すればリスクを減らすことができるのでしょうか?

 

「強制執行認諾約款」を記載した公正証書を作成しましょう。

もし、相手の支払いが滞ってしまった場合、「強制執行認諾約款」が記載された公正証書を作成していれば、相手の給与や預金口座といったものを、強制的に差し押さえてしまうことが可能です(公正証書については「離婚に際して、公正証書の作成は必要か?」をご参照ください。)

公正証書ではない、普通の離婚協議書だと、不払いがあってもすぐに強制執行することはできません。強制執行するには、訴訟を提起し、勝訴判決を得る必要があります。

しかし、離婚協議書があるからといって、必ずしも有利に進むとは限らず、相手が離婚協議書の存在や内容の真偽を争った場合、慰謝料が認められないこともあります。

これに対して、公正証書を作成していると、訴訟を提起して、勝訴判決を得る必要もなく、強制執行が可能です。また、公正証書という公文書の存在や内容が否定されることもありません。

 

「期限の利益喪失約款」も記載しましょう

強制執行を可能にするには、公正証書に単に「分割で支払う。」旨の記載をしただけでは、強制執行の対象や内容が曖昧なため、裁判所は強制執行の決定を出さない可能性があります。

そのため、次のような内容を記載する必要があります。

慰謝料の総額

毎月の支払い額

支払い期日

支払い回数

「強制執行認諾約款」

上記のような支払の内容に関する取り決め事項を記載することは、強制執行を可能にする上で必要なことです。そして、さらに支払いを確実に履行してもらうために、「期限の利益喪失約款」を記載しましょう。

この 「期限の利益喪失約款」は、分割で支払う取り決めをした場合、その支払いが1回でも滞れば、その時点で不払い分と残額の全部を請求できるという取り決めです。

たとえば、慰謝料の総額が200万円として、それを毎月末日に20万円ずつ支払う約束をしたが、3回目の支払いで滞った場合について考えてみます。

この滞った時点で、3回目の支払い分である20万円はもちろん、残り7回分の全額である140万円についても支払いを求めることが可能です。

期限の利益喪失約款を記載しておくことで、強制執行手続きの上でも負担軽減につながります。どういうことかというと、仮に、公正証書に期限の利益喪失約款がない場合、いざ強制執行をしようとしても、分割払いの支払い期日ごとに強制執行の手続きが必要となり、手間や費用など負担が大きくなってしまいますが、期限の利益喪失約款を記載しておけば、手続きは一度で完了します。

このような理由から、「期限の利益喪失約款」は記載しておきましょう。

 さらに、支払いを確実にするために決めておくこと

しかし、「強制執行認諾約款」や「期限の利益喪失約款」が記載された公正証書だから100%安心とは、残念ながら言えません。

分割払いの取り決めをしたときは、相手の経済状態も良く、継続的に支払ってもらえそうな状況だったとしても、その後に病気や事故で、失業してしまう可能性もあります。そうなると、収入が途絶え、慰謝料の支払いもほぼ不可能になってしまいます。

しかし、慰謝料の支払いがストップしてしまうと、受け取る側の生活にも影響がでてきます。そういった不測の事態に備えて、公正証書を作成する際には、以下のようなことも相手方と話し合ってみましょう。

初回の支払い額をできるだけ多くしてもらう

分割払いの回数は可能な限り少なくする

分割払いの間隔は数か月毎や年1回とかではなく、最低一か月毎の支払いとする

以上のようなことも話し合って取り決めることにより、不払いのリスクをさらに軽減させることができると思われます。

 

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