公正証書に書けない内容

こんにちは。函館の行政書士 小川たけひろです。

 

公正証書は、公証人が公証人法や民法などの法律に基づいて作成する公文書です。

当事務所でも、離婚給付等契約公正証書などの作成をサポートさせていただいておりますが、離婚給付等契約公正証書は、その名のとおり、「契約書」なので、契約者双方が合意していれば、どんなことでも取り決められそうなのですが、実際はそうではありません。「公序良俗」に反するものや明らかに実現不可能なものは無効とされます

「養育費が支払えなくなったら死んで詫びる」などは、公序良俗に反するとして無効になると思われます。また、毎月の給料が15万円の人に、「慰謝料は2億円支払うこと」などの取り決めは、実現不可能なものとして、無効となるでしょう。

こういった例は、たとえ夫婦間で話し合って、合意に達した事項であるとしても、その合意自体が無効です。そして、合意自体が無効なので、なんら効力も生じません。そのため、公正証書にすることもできません。

無効な内容としては具体的に次のようなことが挙げられ、公正証書にすることはできません。

 

1.養育費を支払わないという合意

養育費は親の権利ではなく、子どもの権利のため、夫婦の合意であっても無効となります。

 

2.面会交流を認めないという合意

面会交流は子どもの権利であり、たとえ夫婦の合意であっても無効となります。

 

3.親権者変更を申し立てない及び将来の親権者変更の合意

将来、事情が変われば、親権者の変更を申し立てることができることが、法律で定められています。そのため、あらかじめ、申し立てができないという合意は無効です。また、あらかじめ、何歳になったら親権者を変更するという合意も無効です。

 

4.婚姻中の姓を離婚後は使用しない旨の合意

婚姻中の姓を離婚後は使わないという合意は無効です。婚姻中の姓を離婚後も名乗る場合は、「離婚の際に称していた氏を称する届」を市区町村役場に提出することと法律によって認められているからです。

 

5.法律の制限を超える利息、遅延損害金の合意

財産分与や慰謝料など、金銭の支払いが分割になる場合、法律(利息制限法)の制限を超える利息や遅延損害金の定めは、超えた部分につき無効とされます。

 

6.慰謝料、財産分与などの支払を長期分割払いにする合意

長期とは具体的に20~30年ぐらいの期間を言いますが、財産分与(金銭)は、「現に存在する財産の清算」という考え方に基づいているので、本来、分割払いを予想しておらず、一括払いが原則です。

また、慰謝料の相場は平均100万円~300万円程度であることから、一括払いが不可の性質からもできるだけ早く支払われるべきものだからです。そのため、慰謝料の支払い期間を30年とする合意そのものが法律的に無効となります。

 

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