養育費の一括払いについて

こんにちは。函館の行政書士 小川たけひろです。

 

離婚に際して、養育費については、離婚してから子どもが成人するまで毎月一定額を支払うという取り決めをするのが一般的です。

養育費というのは、子供が健やかな成長をするため必要な「生活費」であり、「毎月払い」が原則です。ただし、夫婦が話し合って合意すれば一括して支払うこともできます。

しかし、支払う側の親にしてみれば、養育費を一括払いにすることは、負担が大きいことはもちろんですが、子どもを引き取った親が、万が一、養育費を別の目的で使い果たしてしまい、追加として請求されるのではないかといったことや、養育費を一括払いしてしまった途端に、子どもに面会させてもらえなくなるのではないかと不安になってしまうことから、一括払いに合意することはまれです。

また、子どもが病気や事故などで万が一死亡してしまうと、それ以後は、養育費の支払い義務も消滅してしまうので、一括で受け取っている場合、子どもが死亡した後の分を返還しなければならない可能性もあります。

さらに、養育費を一括で受け取る場合には、受け取った側に贈与税がかかる可能性があります。養育費は、子どもの「毎月の生活費」として支払われるものという考え方なので、原則的に税金が課せられません。

しかし、まだ具体的に発生もしていない将来の養育費として支払われたものに対しては原則として贈与税の課税対象とされます。たとえば、幼児である子どもが、大学まで進学した場合の費用となると、贈与税の基礎控除額の範囲内を超える額になると予想されますので、贈与税が課される可能性が高いと思われます。

したがって、養育費の一括払いについて相手方との合意ができて、離婚協議書や公正証書などの文書を作成する場合、「養育費は一括支払いとする。」などの表現は使わず、原則として贈与税の対象とならない財産分与や慰謝料などの金額の中に含めてしまうほうが良いでしょう。

ただし、この財産分与に含めることについても、注意が必要で、財産分与の額が、あまりに多額である場合には、過当であると認められる部分に贈与税が課せられることがあります。また、慰謝料についても、常識的な範囲を超える過大な金額のものについては、贈与と判断される可能性があるので注意が必要です。

こういったことから、養育費の一括払いには、注意点が多く、あまりお薦めできません。しかし、どうしても一括払いにしたい場合には、養育費を信託銀行に預ける「養育信託」という方法があります。

「養育信託」とは、信託銀行が一括支払いの養育費を預かり、定期的に子どもに決まった金額を支払っていく方法をいいます。信託期間などに条件がありますが、一括払いに関する上記のような問題はクリアされるでしょう。

また、養育費を一括支払いするとなると、贈与税の負担を避けることができない場合がありますが、「養育信託」であれば非課税として扱われ、贈与税を負担する必要はありません。どうしても養育費を一括払いにしたい場合の方法として、考えてみてはいかがでしょうか。

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