遺言の種類と特徴「特別方式の遺言」

遺言には、大きく分けて、「普通方式の遺言」と「特別方式の遺言」の2種類があり、「普通方式の遺言」については(遺言の種類と特徴「普通方式の遺言」)でご説明いたしました。今回は「特別方式の遺言」についてご説明したいと思います。

「特別方式の遺言」は、たとえば死期が目前に迫っていたり、 船舶や飛行機が遭難したという極めて特殊な状況時など、「普通方式の遺言」をすることができないような時に作成することができます。

「特別方式の遺言」は、 このような、特殊な状況下だからこそ、緊急的措置として認められた遺言といえます。なので、普通方式の遺言とはその効力についても違いがあります。

普通方式の遺言は、新しい遺言書を作成したりしないかぎり有効期限というのは特にありませんが、特別方式の遺言は、遺言者本人が「普通方式遺言が出来る状況になって、6ヵ月間生存した場合」は無効になります。

たとえば「乗船していた船が沈没の危機に瀕して、死を覚悟し、船の上で特別方式によって、遺言を作成したけれど、結果的に救助され一命を取りとめた」などという場合は、救助されて普通方式の遺言ができる状態になってから6ヵ月経過した時点にで、遺言した本人が生存していたら、その船上で作成した遺言は無効になるということです。

この方式の遺言は特殊なので、滅多に利用されることはないと思いますが、知識として知っておくと良いかもしれません。「特別方式の遺言」には「危急時遺言」と「隔絶地遺言」の2つの方式があります。

 

 危急時遺言

病気や怪我などで遺言者に死期が迫っている状況にある場合にする遺言です。

「危急時遺言」には、「一般危急時遺言」と「難船危急時遺言」があります。一般危急時遺言は、遺言者だけに死期が迫っている場合で、「難船危急時遺言」は、証人も含めて死期が迫っている場合の遺言です。

「難船危急時遺言」は、船舶遭難だけでなく、飛行機遭難でも作成することが可能です。

遺言者に死期が迫っているのですから、遺言を書かず、証人が遺言者の口述に基づいて遺言を筆記し、他の証人がそれに署名することで成立します。

遺言者本人が書いたものではありませんから、後日裁判所の確認(検認とは異なります。)が必要となります。またこの確認があっても、検認手続きを省略することはできません。

必要な証人の数は、一般危急時遺言は3人以上、難船危急時遺言は証人となる人も死期が迫った状況にあるので、2人以上と緩和されています。

なお、他の方式の遺言でも共通ですが、推定相続人などの利害関係人は証人になることができません(親族などの推定相続人だけで証人になった遺言は無効になります。)ので、病院などの施設で危急時遺言をする場合は、医師、看護師、病院関係者等の第三者に依頼するようにしましょう。

また、病院や施設などに入院中であれば、公証人に出張してもらい公正証書遺言を作成することが可能です。この方が後々面倒も手間も掛からなくて良いと思います。遺言者の容態が安定せず、急変などの怖れが予想される場合には、まず危急時遺言を作成しておき、公正証書遺言を作成する準備をしておくと良いでしょう。

 

隔絶地遺言

「隔絶地遺言」は、遺言者が一般社会との交通が断たれた場所にいるため、普通方式による遺言ができない場合に認められる方式で、「一般隔絶地遺言」と「船舶隔絶地遺言」があります。

一般隔絶地遺言は、伝染病による行政処分として隔離された場所にいる人、刑務所の服役囚など、一般社会との交通を遮断された場所にいる人がする遺言の方式です。

船舶隔絶地遺言は、遭難状態ではない船舶に乗船中の場合の遺言方式で、いずれも遺言者本人に死期が迫っている状況ではないので、遺言者本人が書くことになります。したがって裁判所の確認手続は不要となりますが、この方式の場合も検認手続を省略することはできません。

一般隔絶地遺言は警察官一人と証人一人以上、船舶隔絶地遺言は、船長又は事務員1人と証人2人以上の立会いがそれぞれ必要です。

 

 

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