離婚前に考えましょう!「養育費」のこと

もし、「離婚をしたい」と考え、子どもがいる方の場合、一時の感情だけで「養育費はいらない」と決めてしまうのは極めて危険です。また、養育費の取り決めはしているものの、文書に残していない単なる“口約束”は後に、不払いのリスクを背負うことになってしまいます。

『平成23年度全国母子世帯等調査』の結果によりますと、母子世帯数は123.8万世帯。その中で、養育費の取り決めをしている母子世帯は37.7%、取り決めをしていない母子世帯は60.1%で養育費の支払いを受けていない母子世帯が極めて多いことが分かります。

また、養育費の額や支払い方法などを文書にして残している世帯は63.5%、特に文書などにしていない、いわゆる口約束だけの世帯は35.2%となっています。

 養育費の取り決めをしない「理由」って?

当事務所のご相談者様の中にも、特に養育費のことについて話し合っていないという方がいらっしゃいます。

そういった方に、なぜ養育費の話し合いをしないのか聞いてみると、「離婚後は相手と関わりたくないから」「相手に支払い能力や払う意思がないから」「とにかく一刻も早く離婚したいから」という答えが返ってきます。

こういった場合、養育費についての取り決めをしないことのリスクと、しっかり文書などに残しておくことの必要性をご説明させていただいております。 平成23年の厚生労働省が行った上記調査でも、同じような結果がでています。

 

1位:相手に支払う意思や能力がないと思った 48.6%

2位:相手と関わりたくない 23.1%

3位:取り決めの交渉をしたが、まとまらなかった 8%

4位:取り決めの交渉がわずらわしい 4.6%

5位:相手に養育費を請求できるとは思わなかった 3.1%

 

この結果から、「どうせ支払ってくれないだろう」と最初から諦めている方が多いということがわかります。

しかし、たとえ相手が失業中であろうが、自己破産していようが、子連れで生活をする上で養育費を請求する権利はありますし、相手に支払う義務もあるのです。子どもの教育や成長は待ったなしなのです。

 そもそも「養育費」とは

離婚する夫婦間に未成年の子供がいる場合、その子供の親権・監護権を、夫か妻のどちらが持つのか決める必要があります。

そして、子供を養育するために必要な費用を「養育費」といいますが、子供を監護(正確には身上監護権といい、直接子供の養育や、身の回りの世話をしたり、しつけ・教育をしたりすることをいいます。)する親は、監護していない親に対して、この養育費を請求することが出来るのです。

  養育費の必要性

養育費は当然ですが、親の為の権利ではありません。また、離婚する夫婦に、子供がいる場合には、子供の人権を守るのが最も重要だと言っても過言ではありません。離婚はあくまでも両親の問題で、子どもの成長とは無関係な出来事だからです。

ですから本来は、「相手と関わりたくない」「請求してもムダ」という”親側の都合”だけで養育費の請求を諦めてしまうことは、ある意味、子供の正当な権利を放棄しているとも考えられます。

相手から暴力を受ける可能性があって、話し合いができないなどの理由がある場合は、無理に関わらない方がいいですが、もし「面倒だから」「顔を見たくないから」という理由なのであれば、養育費というものについて今一度冷静に考えていただきたいと思います。

 養育費が支払われていると父親に対するイメージも違う

子供が成長していく中で、“養育費が父親から支払われている”という事実があると、父親に対してのイメージや感情に大きな変化が生じる場合があります。

父親が誠実に養育費を支払ってくれている場合、たとえ子供とは離れて暮らしていても、「お父さんから愛されている」と感じ、精神的に安心し、父親に対してマイナスの感情を抱きにくくなる傾向があります。

 

離婚は夫婦間だけの問題ではありません。子供の健全な成長のためにも、一時の感情だけで、子どもの権利を奪ってはなりません。

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